保険金支払い
症例:路上転落死
経過
x月22日 | 0:00 | 酔って路上で転倒、頭部を打ったらしい。 |
x月22日 | 12:00 | 起きてこないので妻が確認、応答なし。 |
x月22日 | 12:02 | 救急車到着 JCS300 |
x月22日 | 13:43 | CT撮影、右側頭葉から基底核に8cmの血腫「脳出血」と診断。 |
x月27日 | 死亡 |
依頼情報
- 患者側からは、転倒して頭部骨折を負い、脳内出血があったとして保険請求(2社に請求)がありました。
- 請求があった内1社(A社とします)は、転倒事実が確認され、画像診断所見から外傷性を示唆する所見が確認されたことと内因性を客観的に裏付ける所見が確認されなかったことで保険金が支払われました。
- しかし、別の1社(B社とします)からは、出血は内因性のものであるとして支払免責の通知が行われたため、今回の依頼となったものです。
A病院の見解
- 死因:脳出血、病死および自然死
- x月x日 回答では、内因性の脳内出血
- x月x日 回答では外因性の可能性を100%否定できるものではない
Ai読影
- 右中頭蓋窩に巨大な血腫を認める。前頭蓋窩右側では、くも膜下腔が確認出来る(赤丸)。
- 乳突蜂巣内および中耳に液体貯留を認める(赤丸)。骨折線も認める(←)
死因は?
- 脳内出血(外傷による脳挫傷の所見と考えられる)も一部伴っているが、右中頭蓋窩における血腫は、ほとんどの部分が、脳外の出血病変(硬膜外、硬膜下出血)と考えられる。
- 転倒による右椎体部骨折、鱗部骨折に伴う中硬膜動脈の損傷が出血源と思われる。
- 右側頭部において薄い帯状の帽状腱膜下血腫を認める。
- 乳突蜂巣部分の骨折。これは、右内耳内出血という臨床情報と一致する所見である。
ポイント
- 脳内出血の原因が外傷性のものであるか、内因性のものであるか。
- 骨折などの外傷が認められるか否か。
- 出血の部位の評価
保険金の支払いが変わってくることがあります。
事故など外傷と死亡との因果関係が重要。客観的な証拠はやはりAi。