死因に納得がいかない


症例:上腸間膜動脈解離

要点整理

慢性心不全で夜間呼吸苦を主訴に11月7日○○センターに入院、入院中腹痛を訴えていた。11月14日ベッドサイドに倒れているのを発見。そのまま意識回復せず、9:15 死亡確認。
 

遺族からの要望でAi実施

  • 元々心不全があったが、入院し治療をしたら心不全は良くなってきていると主治医に言われた。治験参加も勧められた。それなのに、土日を挟んで週明けに急変し死亡してしまった。
  • 腹痛を訴えていたのにちゃんと治療したのだろうか。
  • 亡くなったときの説明も最初は心不全といっていたのにAiをやったらそうでないと言われた。

 

Ai読影

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  • 腹部大動脈に僅かだが壁在血栓と石灰化が認められる

 

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  • 上腸間膜動脈基部に強い石灰化を認める。

 

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  • 上腸間膜動脈の径が途中から急激に狭小化している。

 

死因は?

  • 腹痛の原因としては虚血性腸炎が疑われ、その原因としては上腸間膜動脈解離が考えられる。血管壁の石灰化や血管径の狭小化、内腔の僅かな濃度低下なども上腸間膜動脈解離を示唆する。ただし、上腸間膜動脈が完全閉塞になっていないため、腸管の虚血性変化や臨床症状が激烈では無かったようである。
  • 虚血性腸炎により、イレウスとなり、血便、腹痛などの症状が出現した。また、イレウスにより逆流した胆汁が胃液に混ざり、これを誤嚥し、窒息した可能性が考えられる。
  • ただし、誤嚥に関しては、蘇生術の際に口腔内に食物残渣があったとの記載があるが、死後CTでは気道内には、食物塊を示唆する内腔の凹凸が僅かにある程度で、胃内の大量残渣(ほぼ液体)を考慮すると蘇生術に伴う2次性変化の可能性もある。

 

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