交通事故
症状:生体鑑定
要点整理
受傷時の診断
右多発肋骨骨折、右肺挫傷、右血気胸、骨盤骨折、会陰部裂傷、全身打撲、出血性ショック、多発外傷
主な所見
開放性恥骨結合離開、右恥骨骨折、右坐骨骨折、仙骨骨折
主な争点
L4/5の腰椎の圧迫骨折および辷りが見られるが、これがこの交通事故に起因したものであるか、事故前から存在したものであるか。この違いにより障害度が変わってくる。
○○火災の意見書
- 受傷当日のCTで骨盤骨折は不安定な骨折型と考えられ骨片の転移も存在する。受傷時の骨盤骨折部での神経損傷が存在した可能性は認められる。
- 整復固定後のCTでは、癒合した仙骨骨折が認められるが、骨折部に著明な転移を伴っておらず、整復後の仙骨骨折部で、神経障害が遺残するほどの変形治癒とは言えない所見である。
- 受傷直後のCTで、L4椎体の前方滑りは存在するものの、同部に慢性の変形に特徴的な骨棘~前縦靭帯骨化に伴う椎体間癒合と考えられる所見が認められる。これが受傷前からL4すべりが存在する証拠となり得る。
- 初期治療を担当した○○救命救急センターでは、腰椎に関しては、骨折として評価~治療しておらず、元来存在した分離すべり症と診断されていたと推察する。
- 以上から神経因性膀胱と排尿調節機構の構造破綻の両者による症状が混在している可能性が高いと考えられる。本件事故以前から症状を生じていた場合を除いては、排尿異常の症状と本件事故との因果関係は認められると考えられる。
Ai読影
- L4/5で圧迫骨折を認めるが、これが慢性の辷りか今回の受傷かが争点。
- 今までの医師は骨棘と前縦靭帯骨化と言っています。
- 皮膚下出血(赤丸印)は、L4・L5棘突起部分から上下左右対称に広がり、縦10㎝・横8㎝、程度の大きさである。ドーム型で同部位後方の背側皮膚下に巨大なコブ状の血種を形成する。その中心部を出血部位と考えると、L4/L5背側棘間靭帯の損傷があったと思われ、その部分が開いた結果と考える。L4・L5椎体の後方接合部分が瞬時に開いた結果、てこの原理で、2椎体の前方同士が衝突し、圧迫骨折が発生したものと考えられる。
- 併せて、同部位の棘突起背側の剥離骨折(白矢印)、及びドーム状の血腫(図2赤丸)を認める。
ポイント
受傷時、○○氏の体は、右前方向からの巨大な外力を受けた。と考えることが妥当。
L4/5の辷り様の所見は受傷時に起きた。
交通事故などの生体鑑定も行っています
整形外科、脳外科などと異なった視点で画像から所見を拾い上げます。
図入りの分かりやすい鑑定書を作成します。
症状:症例遅発性動脈解離
要点整理
- 交通事故に遭う。過失割合は10:0で先方の全面過失。正面衝突を避けようとして伯母が必死に避け、死亡事故には至らなかった。救急車内で、血圧が上がり230ほど。また、「心臓がひどく悪い。心臓は以前から弱いのか?」と聞かれたとのこと。伯母に心臓疾患はない。また、このときの診察はレントゲン撮影のみだったとのこと。
- その後、頸部痛が持続し、近位の整形外科を受診していた。
Ai読影
アプラーゼ治療前
- 共同偏視を認め、大脳皮質から脳幹の核に至るまでの部分での障害を疑うが、CTでは脳幹を含め所見ははっきりしない。
アプラーゼ治療後
- 左小脳半球に脳梗塞を認める(矢印)。
- 脳出血なし。
遅発性椎骨動脈解離
- Aiの知識を持った放射線科医によって発見された。
- 解剖を行っても死亡時までの時間が経っているため、椎骨動脈の変化が残っていない可能性がある。