海外での死亡


症例:医療関連死海外事例

要点整理

  • 突然の背中の痛み、足が動かなくなり、入院。それまでは至って健康、痛風の薬のみ飲んでいた。入院後、アンギオを行ったが異常なし。その日の心エコーも異常なし翌日の心エコーでは左心室のダメージありということ。
  • 奥様は、アンギオのあと本人と面会、その時は意識がかろうじてあり、麻痺が進行している。顔はかなりむくんでいる。医師は、肺塞栓なども疑っているが、確証はない。入院してから体温はずっと39度髄液検査も実施したが、結果は陰性だった。

 

Ai依頼は奥様から

  • 海外勤務中に急変した。上海の病院に入院したが、よく分からないうちに死亡してしまった。
  • 突然のことで何が起こったのか分からない。
  • 生前は元気だったのに…
  • 心エコーや血管造影の検査もしたはず…

 

Ai読影

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  • 大動脈解離が疑われる。
  • 赤丸で囲った部分が、大動脈弓で、白い楕円の外側にも液体が貯留している。

 

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  • 参考他症例。

 

死因は?

  • 大動脈解離が直接の死因と考えられる。これが、心不全を起こしたものと思われる。背部痛、下肢麻痺などの臨床症状ともあう。解離によるアダムキュービッツの閉塞が起き、下肢麻痺になったと思われる。解離が進んで、弁輪部に及んで、閉鎖不全や狭窄を起こして、心不全になったと考える。
  • 心カテーテルなどの検査でも、冠動脈だけしか見ないため、解離については確認できない可能性がある。また、心エコー検査は心臓の検査であり、大動脈については普通観察しない可能性がある。

 

アダムキュービッツ動脈について

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  • 脊髄に分布する動脈のひとつで胸部下降動脈から分岐する肋間動脈、腰動脈よりさらに別れ下部胸髄、腰髄に分布する動脈の中で、第9胸椎から第3腰椎までの動脈は特に太く、これらの動脈をアダムキュービッツ動脈もしくは、大前根動脈と呼ばれる。
  • 胸部下行大動脈の血管置換術などにより胸部下行大動脈の遮断を行うとこれらの動脈に血流が乏しくなり対麻痺を起こす。

 

医療関連死疑い(海外事例)第三者の客観的な評価が必要

  • 近年、海外勤務中の突然死が多くなっており、Ai情報センターにも5件以上の読影依頼が来ている。
  • 海外の死因究明体制は不十分であり、病死として処理された場合は、日本国内での解剖を行うことは地域により差はあるが犯罪死以外は困難。

≪ 意見書・鑑定書の作成複数読影の重要性 ≫